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高尿酸血症 / 痛風

高尿酸血症・痛風とは

 高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態を指します。尿酸は体の新陳代謝で生じる老廃物の一種で、通常は腎臓から尿として排出されます。

しかし、尿酸の生成が多すぎたり、排出がうまくいかない場合、血液中に尿酸がたまりやすくなります。その状態が続くと、関節や腎臓に尿酸の結晶が沈着し、激しい痛みを伴う痛風を引き起こすことがあります。
高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態を指します

高尿酸血症と痛風の違い


高尿酸血症は、血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超えている状態を指し、まだ症状が出ていない段階のことをいいます。尿酸は体内で常に作られており、通常は腎臓から尿として排出されていますが、作られる量が多い、または排出がうまくいかない場合に血液中に蓄積します。

この状態を放置すると、血液中の尿酸が飽和状態となり、結晶となって関節内に沈着します。その結晶に免疫が反応して炎症を起こすことで激しい痛みが出るのが「痛風発作」です。痛風は高尿酸血症が進行した結果として現れる症状であり、両者は「原因」と「結果」の関係にあるといえます。

痛風発作は突然発症しやすく、夜間に足の親指の付け根が赤く腫れてズキズキと痛むことが典型的です。数日で治まることもありますが、再発を繰り返すと関節が変形したり、尿酸結晶が皮下にたまって「痛風結節」ができることもあります。発作が起きていなくても尿酸値が高い段階で治療や生活改善を始めることが大切です。

尿酸の働きと体内での役割


尿酸は、細胞の中にあるエネルギー代謝物質「プリン体」が分解される際に作られます。プリン体は食べ物や体の細胞の代謝から生じるもので、尿酸は最終的に老廃物として体外に排出されます。実は尿酸には強い抗酸化作用があり、細胞を酸化ストレスから守る「防御物質」としての役割も果たしています。

しかし、尿酸が増えすぎるとそのバランスが崩れ、血液中に結晶として残ってしまいます。体温の低い足先や関節部分では特に結晶化しやすく、これが炎症や痛風発作の原因になります。

尿酸値を上げる要因には、プリン体を多く含む食品の摂取、アルコールの飲みすぎ、肥満、ストレス、遺伝的体質などがあります。アルコールの中でも特にビールはプリン体を多く含み、体内で尿酸の生成を促すため注意が必要です。尿酸は本来、体に必要な物質でもあるため、過剰にも不足にもならないようにコントロールすることが健康維持のポイントになります。

尿酸が高くなる原因と体への影響


尿酸値が高くなる原因は大きく「産生過剰型」と「排泄低下型」に分けられます。産生過剰型は、プリン体の摂取が多い、激しい運動やストレスで体内代謝が活発になる、肥満などで体の代謝負担が増える場合に起こりやすいです。一方、排泄低下型は腎臓の機能が低下して尿酸をうまく排出できないタイプで、日本人に最も多いとされています。

また、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病があると、腎臓の尿酸排泄能が下がり、悪循環を招くことがあります。脱水や過度な飲酒も尿酸の濃度を一時的に高めるため注意が必要です。

尿酸値が高い状態を放置すると、関節に尿酸結晶が沈着して痛風発作を起こすだけでなく、腎臓に結晶がたまり「痛風腎」と呼ばれる慢性的な腎障害につながることがあります。さらに、血管内の炎症を通じて動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めることも報告されています。生活習慣を整え、医師の指導のもとで尿酸値を管理することが長期的な健康維持に役立ちます。

痛みがなくても注意が必要な無症状高尿酸血症


高尿酸血症は、痛風のような強い痛みが出ないため、自覚しにくいのが特徴です。検査で尿酸値が高くても、症状がない段階を「無症状高尿酸血症」と呼びます。体に大きな不調がないため放置されがちですが、この状態でも関節や腎臓には少しずつ尿酸結晶がたまり始めています。

尿酸値が高いまま放置すると、いずれ痛風発作や腎障害を引き起こすリスクが高まります。また、尿酸の蓄積は血管の内側にも炎症を起こし、動脈硬化の進行にも関係していることがわかっています。

この段階で生活習慣を見直し、食事や水分摂取、適度な運動を意識することが発作や合併症の予防につながります。健康診断で尿酸値が高めと言われたら、「まだ痛くないから大丈夫」と思わずに、医療機関で相談し、必要に応じて定期的に経過を確認することが大切です。

痛風の主な症状


痛風は高尿酸血症が進行して起こる病気で、尿酸の結晶が関節にたまることで強い炎症と痛みが生じます。典型的には足の親指の付け根に突然の激痛が起こり、夜間や早朝に発症することが多いです。

発作時には関節が赤く腫れ、熱を持つこともあり、歩くのが難しくなるほどの痛みを感じる人もいます。再発を繰り返すうちに、痛みが複数の関節に広がることもあります。
痛風の主な症状

痛風発作の特徴と起こりやすい部位


痛風発作は、尿酸の結晶が関節に沈着して免疫反応を引き起こすことで炎症が生じます。最も多いのは足の親指の付け根(母趾の中足趾関節)ですが、足首や膝、手の指などにも起こることがあります。痛みは1〜2日でピークに達し、数日から1週間ほど続くのが一般的です。

発作のきっかけには、暴飲暴食や激しい運動、脱水、ストレス、急な体重変化などが関係します。痛みが落ち着いても尿酸値が高いままだと再発しやすく、複数の関節に炎症が広がるおそれがあります。夜間や明け方に痛みが強くなるケースも多く、発作の際は患部を冷やして安静にし、無理に動かさないことが大切です。早めに医師の診断を受けて、適切な治療を始めましょう。

放置すると起こる合併症


痛風を放置すると、発作を繰り返すだけでなく、体のさまざまな臓器に影響が及びます。尿酸結晶が腎臓に沈着すると「痛風腎」と呼ばれる腎障害を起こし、腎機能が低下してしまうことがあります。また、尿酸が尿路内で結晶化して尿路結石を作ることもあり、背中や腹部に強い痛みを感じることもあります。

さらに、高尿酸血症は血管の炎症を通じて動脈硬化を進行させ、高血圧や心筋梗塞、脳梗塞などの生活習慣病リスクを高めます。放置すると発作間隔が短くなり、関節の変形や腎臓への負担が進行することもあるため、定期的な検査と治療の継続が重要です。症状が軽いうちに治療を始めることが、長期的な健康維持につながります。

診断と治療について


痛風や高尿酸血症は、血液検査で尿酸値を確認することで診断されます。発作中は痛みを和らげる治療が中心となり、炎症が落ち着いた後に尿酸値を下げる治療を開始します。正確な診断と継続的なケアが、再発や合併症を防ぐための基本になります。

尿酸値の検査と診断基準


診断では、血液検査で尿酸値を測定し、7.0mg/dLを超えると高尿酸血症と診断されます。尿酸値だけでなく、腎臓の機能や尿中の尿酸排泄量も確認し、原因が「産生過剰型」か「排泄低下型」かを判断します。

痛風発作時には、関節液を採取して顕微鏡で尿酸結晶を確認することもあります。定期的な検査を受けて自分の尿酸値の傾向を把握し、症状が出る前に予防的に対処することが大切です。

また、血液検査では腎機能や血糖、脂質のバランスも同時にチェックできます。これらの数値を総合的に見ることで、生活習慣全体の改善にもつながります。

薬による治療と注意点


薬による治療は、炎症を抑える薬と尿酸値を下げる薬に分かれます。発作時は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やコルヒチンなどを使用して痛みを和らげ、炎症を落ち着かせます。発作が治まった後は、尿酸の生成を抑える薬(アロプリノールなど)や尿酸の排泄を促す薬(フェブキソスタット、ベンズブロマロンなど)を使って、尿酸値を6.0mg/dL以下に保つことを目指します。

薬の効果を安定させるには、医師の指示を守って継続的に服用することが大切です。自己判断で中止すると再発や副作用のリスクが高まるため注意しましょう。定期的な血液検査で腎機能や肝機能を確認しておくと、より安全に治療を続けられます。

また、治療を始めたばかりの時期は一時的に尿酸結晶が溶け出して発作を起こすことがあります。医師と相談しながら薬の量を調整し、体の変化を見守ることが大切です。

生活習慣の改善でできる対策


薬とあわせて、日常生活の見直しも治療の重要な部分です。尿酸値を下げるためには、次のような習慣を意識すると効果的です。  
  • プリン体を多く含む食品(レバー、魚卵、ビールなど)を控える
  • アルコールを減らし、水分を1日1.5〜2Lを目安に摂取する
  • 肥満を防ぎ、バランスの取れた食生活を心がける
  • 過度な運動や急なダイエットを避ける
こうした生活改善を続けることで、薬の効果を高めると同時に再発のリスクを減らすことができます。毎日の積み重ねが、尿酸値の安定と健康維持につながります。

さらに、睡眠不足やストレスも尿酸値を上げる一因になるため、十分な休息と心身のリフレッシュも意識するとよいでしょう。生活リズムを整えることが、治療をより長く続けやすくするポイントです。

高尿酸血症が引き起こす合併症


高尿酸血症は、痛風だけでなく全身に影響を及ぼす病気です。尿酸が血液中に多く含まれた状態が長く続くと、関節以外にも結晶が沈着し、慢性的な炎症を引き起こすことがあります。

さらに、腎臓や血管への負担が増えるため、動脈硬化や腎障害などの生活習慣病を悪化させることもあります。尿酸値を安定させることは、体全体の健康を守ることにつながります。

腎臓への影響と尿路結石のリスク


腎臓は尿酸を体外に排出する重要な臓器です。しかし、尿酸値が高い状態が続くと腎臓に結晶がたまりやすくなり、腎機能が低下することがあります。これを「痛風腎」と呼び、進行すると慢性腎臓病に移行するおそれがあります。また、尿中の尿酸が濃くなると尿路結石を作りやすくなり、背中や脇腹に激しい痛みが出ることもあります。

こうした腎臓への負担を防ぐには、1日1.5〜2Lを目安に水分をしっかり取ることが大切です。尿を薄めることで結晶化を防ぎやすくなり、腎臓の働きも保たれます。

動脈硬化や心疾患との関係


高尿酸血症は、血管の内側で炎症を起こしやすくするため、動脈硬化を進行させる一因とされています。動脈硬化が進むと血流が悪化し、高血圧や心筋梗塞、脳梗塞などの重い疾患につながることがあります。

尿酸値の上昇は、血糖や脂質の異常とも関係が深く、メタボリックシンドロームの一因とも考えられています。定期的に健康診断を受けて、血圧や血糖値、脂質とあわせて尿酸値を確認することで、全身の病気を早期に防ぎやすくなります。

再発予防と日常生活のポイント


痛風や高尿酸血症は、薬で一時的に症状を抑えても、生活習慣が乱れると再発しやすい病気です。尿酸値を安定させるためには、食事・水分・運動のバランスを整えることが欠かせません。日常生活の小さな工夫を続けることで、発作の再発を防ぎ、長期的な健康を維持できます。

食事で気をつけたいこと


食事内容は尿酸値に大きく影響します。プリン体を多く含む食品(レバー、魚卵、干物など)は控えめにし、野菜や海藻、乳製品を取り入れたバランスのよい食事を心がけましょう。

肉や魚を完全に避ける必要はありませんが、量を減らして野菜を多く取ることで自然に尿酸値を下げやすくなります。特に低脂肪乳やヨーグルトは尿酸値を下げる効果が期待されており、積極的に取り入れたい食品です。塩分や脂質の取りすぎを防ぐことも、腎臓や心臓を守るうえで大切です。

控えたい食品とおすすめの食生活


控えたい食品には、アルコール、甘い清涼飲料水、内臓肉、魚の干物などがあります。特にビールはプリン体を多く含むため注意が必要です。一方で、水分を十分に取り、野菜や果物、穀類を中心とした食生活に変えることで、尿酸の排出が促されやすくなります。

急激な食事制限や断食は尿酸値を一時的に上げることがあるため、無理のない範囲で食事を整えていくことが大切です。腹八分目を心がけ、食べすぎを防ぐことで、安定した尿酸コントロールにつながります。

水分補給と運動の工夫


十分な水分摂取は、尿酸を尿から排出するために欠かせません。1日1.5〜2Lを目安に、こまめに水やお茶を飲むようにしましょう。甘いジュースやアルコールは尿酸値を上げやすいため、控えめにするのが安心です。

また、軽い運動も有効です。ウォーキングやストレッチなど、無理のない運動を週に3〜4回行うと代謝が促され、尿酸の排出がスムーズになります。激しい運動は尿酸値を一時的に上げることがあるため、体調に合わせてゆっくり続けることがポイントです。
生活習慣の改善でできる対策

まとめ

高尿酸血症や痛風は、生活習慣の見直しと早めの治療で予防できる病気です。尿酸値が高いと指摘された時点で放置せず、食事・運動・薬の継続によって安定を目指しましょう。

尿酸は体に必要な物質でもありますが、多すぎると関節や腎臓に結晶がたまり、痛風発作や腎臓病、動脈硬化などのリスクを高めます。水分をしっかり取り、栄養バランスの取れた食事を心がけることが、健康を守るための基本になります。

また、定期的な血液検査と医師の指導を受けながら、自分の尿酸値を把握していくことが再発防止の近道です。治療を「一時的なもの」とせず、日常生活の一部として自然に取り入れていくことが、長く安定した状態を保つポイントです。

痛みを経験してから治療を始めるのではなく、「今できること」を意識して行動することで、将来の発作を防ぐことができます。毎日の積み重ねが、痛みに悩まされない健康な未来につながります。自分の体を大切にしながら、無理のないケアを続けていきましょう。
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